子どもの矯正トラブル例
早い方がいいと治療を急かされる
受験や部活動が始まる前に矯正をした方が良いと急かすように勧められた
矯正は特に小学生などで低年齢化が進んでいます。早い方がいいと勧められて、不要な、または高額な治療を行うことになったというトラブルも増えています。低年齢のお子さんは顎の成長を矯正治療に活かすことができ、ある程度の治療効果が見込めますが、全てのお子さんが早いうちに矯正をすることが良いわけではありません。
すぐの治療が必要か、もしくは経過観察をはさんだ方がいいかは、医師がお子さんのお口の状態を診察、検査してから判断します。なんだか急かされているなと感じたら、セカンドオピニオンを求めるのも良いでしょう。
事前の検査が不十分
頭部のエックス線検査などを行わずに装置を取り付けた
お子さんの矯正治療で、不適切な治療を受けていたというトラブルです。
矯正治療では「セファロ」というレントゲン写真を撮り、この写真と患者さんの歯型を分析して数年先までの治療計画を立てていきます。セファロは矯正治療には不可欠な検査ですが、これを行わずに治療した結果、そもそも経過観察をしていけば矯正治療が不要なケースや、症状の悪化といったトラブルとなるケースも見受けられます。セファロを導入しているかどうかは、治療を任せる判断のひとつの目安となります。
矯正は専門性の高い治療ですが、一般歯科では、矯正治療の技術や経験が浅い一般歯科医が矯正を行うことがあります。矯正治療のトラブルに遭わないよう、できれば矯正治療を専門に行う歯科医院でご相談いただくのが良いと思います。
抜歯のトラブル
歯並びを見ただけで、いきなり歯を抜かれた
これもきちんと検査を行わないトラブルで、抜く必要のない歯を抜いてしまったケースです。
抜歯治療では、通常噛み合わせに大きな影響を与えない第一小臼歯を抜くことが多いのですが、異常な場所から生えているといった理由だけで、他の歯を抜いてしまうことがあります。たとえば八重歯は犬歯であることが多いですが、犬歯は寿命の長い歯ですので、残しておく方が良いとされています。もちろん、検査の結果によっては犬歯を抜かざるを得ないケースもあります。その場合は担当医がお子さんと保護者の方に説明をし、了承を得た上で抜歯を行います。ところが、検査を正しく行えば、他の歯を抜くことで噛み合わせの影響などを最低限に抑えて歯並びを整えられたケースなのに、検査をしないで犬歯が抜かれてしまったとしたらどうでしょうか。保護者の方は、もしレントゲン写真も無く抜歯を勧められたら、説明を担当医に求めてください。その時点で他院での相談をお考えになった方が良いかもしれません。
一度抜いてしまった歯は二度と生えてきません。お子さんの長い人生で、一番良い歯並び・噛み合わせとなるための矯正治療なのですから、お子さんのためにも検査と診断をきちんと行う矯正医院を選んであげてください。
何年経っても治療が終わらない
治療開始時に2~3年と言われたのに、気がついたら10年近く、酷い治療になると10年以上治療を続けているというトラブルがあります。
これは、次に挙げる床矯正によるトラブルや、そもそも最初の治療計画が間違っていたといったことが原因に挙げられます。また、お子さんのケースでお子さんの成長が想定より早かったのに、途中で治療計画を見直さなかったなど、医師の知識・経験不足が原因のこともあります。
また、患者さん側に原因があることもあります。お子さんの指しゃぶりなどが止まってなかったり、装置を頻繁に外してしまっていたりすると、想定通りには治療が進まず治療期間が延びる原因になります。
最初に提示された期間になっても治療が終わらない時は、まずは担当医と、次についてしっかりお話しください。
- 予定の治療期間で終わらない理由、原因
- 今後の見通しについて
- 伸びた期間の料金について
それでもおかしいなと感じられたら別の矯正医院に相談なさるのもいいかと思います。
拡大床のトラブル
- 何年経っても治らない。
- 治療後元に戻ってしまった。
- 奥歯で物が噛めなくなった。
- 噛み合わせが合っていない。
- 口元が突出してしまった。
お子さんの歯を抜かずに、歯列を広げる治療のトラブルです。
成長期のお子さんでは、顎の成長を利用して顎を広げる「床矯正」という治療を行うことがあります。顎を広げる「拡大床」という装置を用いて、歯並びを整えるための隙間を作る方法です。装置が目立たない、歯を抜かないで矯正できるというメリットがあります。とはいえ症状はお子さんごとに異なりますので、全てのお子さんが床矯正で矯正できるわけではありません。
ところが、歯を抜かないことに重点を置くばかりに、きちんと検査もせずに床矯正を始める例があります。顎を広げるといっても厳密には顎の骨はさほど広がらず、歯を外側に傾斜移動させて歯列を拡大する方法ですので、場合によっては歯だけが斜めに広がってしまい、口元を突出させてしまうといったトラブルを引き起こします。また、床矯正は後戻り(歯が元の位置に戻ること)しやすいというデメリットがあります。
顎の成長、歯の傾斜のバランスを考えて治療する技術が必要となりますが、非抜歯治療として床矯正を勧めることで上記のような失敗例が多く発生しています。経験を積んだ矯正歯科医の多くは床矯正を矯正治療の補助的として捉え、基本はブラケットなどの矯正装置を用いた矯正だと考えています。
矯正費用 | ※矯正治療は基本的に自費診療になります。 |
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矯正治療に伴うデメリット・リスクについて |
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※一般的なリスク・副作用については、こちらのページにも詳しく掲載していますので、ご覧ください。